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2024年 労働法関係の法改正まとめ

公開日:2024/2/17  更新日:2024/2/17

「毎年法令の改正が行われるけど、2024年はどのような改正が行われるのだろう?」このような疑問をお持ちの事業主の方も多いのではないでしょうか。

2024年は、4月・10月・12月に社会保険関係の法改正が行われる予定です。法令を遵守しないと企業の信頼を損ねてしまうため、きちんと法改正の内容を把握して、適切に対応することが大切です。

こちらの記事では、2024年に行われる予定の具体的な法改正の内容について解説します。最後まで読めば、今後行われる予定の法改正に対応し、企業の信頼を維持できるでしょう。

法改正の内容や、改正に伴って企業が行うべき対策について知りたいと考えている方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

2024年4月1日から行われる改正

2024年4月1日より、法改正に伴って労働条件明示をはじめとした労働関係法令の変更が行われます。

法令違反を犯さず、従業員の満足度と企業の信頼性を高めるためにも、どのような法改正が行われるのか把握しましょう。

労働条件明示ルールの改正

 労働条件明示ルールの改正では、主に以下3点の事項が明示すべき内容として追加されます。

①就業場所・業務の変更の範囲

②有期契約労働者の更新上限に関する事項

③有期契約労働者の無期転換に関する事項

 どのようなタイミングで明示すべきかを、表でまとめました。

①就業場所・業務の変更の範囲

就業場所・業務の変更の範囲を明示する義務は、雇用形態に関係なくすべての労働者に当てはまりま す。正規社員だけではなく非正規社員に対しても明示する必要がある点は、必ず押さえておきましょう。

現行の労働基準法では、必ず明示しなければならない労働条件は以下のように定められています。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項※
  3. 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇などに関する事項
  5. 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 ※期間の定めのある労働契約で、当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合がある者の締結に限り、明示する必要がある

2024年4月1日以降は、現行の内容に加えて「就業場所・業務の変更の範囲」を明示する必要があります。具体的には、転勤を命じる可能性がある場合はどの程度のエリアまで有り得るのか、業務の範囲を変更する場合はどのような部署への異動を命じる可能性があるのかを明示しましょう。

就業場所や業務に限定がない場合は、すべての就業場所と業務を含めて明示する必要があります。就業場所や業務の変更範囲が限定されている場合は、「〇〇市内の営業所」「本社における商品又は営業の企画」などのように、範囲を明確にしましょう。

企業側としては、入社後の配置について正確に想定することが難しいケースがほとんどです。そのため、考えられる配置転換に関しては可能性として含んでおき、就業場所・業務の範囲を広く記載するとよいでしょう。

②有期労働契約の更新上限に関する事項

有期契約労働者に対しては、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限の有無と内容を明示しなければなりません。具体的には「契約期間は通算3年を上限とする」「契約の更新回数は3回までとする」のように、有期契約の通算契約期間や更新回数の上限を明示します。

契約締結のあとに更新上限を新しく設けるときや、契約締結の際に設けた更新上限を短縮するときも、労働者に対して事前説明することが義務付けられます。例えば、通算契約期間の上限を4年から3年に短縮する場合や、更新回数の上限を3回から2回に短縮する場合は、労働者に対して説明しなければなりません。

有期労働契約を締結している従業員がいる事業主は、雇い入れのタイミングと更新のタイミングで、きちんと説明を行う必要がある点を押さえておきましょう。

③有期契約労働者の無期転換に関する事項

有期労働契約者に「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、当該労働者に無期転換を申し込める機会について、書面で明示する必要があります。また、無期転換後の労働条件の明示も必要です。

対象となる労働者に無期転換後の労働条件の定めを明示する際には、就業の実態に応じて正社員との均衡を考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について説明することが努力義務となっています。

無期雇用転換後の待遇と正社員との待遇に差がある場合は、具体的にどのような違いがあるのかを整理しておきましょう。契約後のトラブルを未然に防ぐうえで、労働条件だけでなく正社員との違いを明文化して、労働者に説明することは大切です。

パート・有期労働法において、事業主は「雇用する有期契約労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない」とされています。無期転換申込権についても該当することから、企業側は無期転換について相談できる体制を整備する必要があります。

無期転換とは、同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えたとき、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる制度です。雇い入れ期間が5年を超える見込みがある有期契約労働者がいる場合は、押さえておくべき法改正と言えるでしょう。

適用猶予業種の時間外労働の上限規制

202441日以降は、時間外労働の上限規制の適用が猶予されていた事業所(建設業やドライバー関係)において、上限規制が変更されます。時間外労働時間に上限が設けられるため、労働時間を適切に管理するのはもちろん、効率的な業務運営が求められるでしょう。

本来であれば、労働基準法においては労働時間について以下のルールが定められています。

  • 労働時間は原則1週40時間・1日8時間まで
  • 残業時間の上限については、原則として月45時間・年360時間(限度時間)以内
  • 臨時的な特別な事情がある場合でも、残業時間は年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6カ月が限度

2024年3月までは「建設の事業」「自動車運転の業務」「医業に従事する医師」に関しては、上記の上限規制が適用されません(猶予されている状態)。しかし、2024年4月以降は猶予期間が終了し、以下のルールを遵守する必要があります。

いずれも、労働時間に制約が設けられることになります。限られた人員の中で上限規制の範囲内に労働時間を収めるためには、効率的な業務運営はもちろん、事業主同士の協力が欠かせません。

例えば、建設業に関しては工事を発注するとき・受注するときに、長時間労働を前提としない適正な工期での契約締結が挙げられます。トラック運転手に関しては、トラック事業者と荷主で協力して荷待ち時間を短縮するなど、トラック運転者が決められた時間内で効率よく業務を行える工夫が欠かせません。

自動車運転者の労働時間等の改善基準の改正

2024年4月以降、運輸業に携わる労働者の健康を守るために、自動車運転者の労働時間や拘束時間に関する改善基準の改正が適用されます。

上記の中でも、ドライバーの労働時間に上限が設けられ、輸送能力が不足するリスクは「2024年問題」と呼ばれています。ドライバーは他の業界よりも体力的な負担が重いうえに年収が低いことから、ただでさえ人手不足という状況の事業所も少なくありません。

物流業界をはじめ、タクシーや観光バスなどを運行している事業者は、これまで以上に人手を確保する重要性が高まっていきます。業界全体でのイメージアップや、待遇の改善というアクションがより求められるでしょう。

障がい者の法定雇用率引き上げ

20244月より、障がい者の法定雇用率が2.3%から2.5%へ引き上げられます。また、対象事業主の範囲も広がるため、対象となる場合は障がい者雇用を進める必要があります。

障がい者を雇用しなければならない対象事業主は、毎年6月1日時点における障がい者の雇用状況をハローワークへ報告しなければなりません。また、障がい者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」の選任が努力義務となっています。

2024年3月までは、週20時間未満で勤務する障がい者は法定雇用率の算定対象外です。しかし、2024年4月以降は10時間以上20時間未満で働く障がい者も、対象者1人につき「0.5人」としてカウントできます。

裁量労働制の改正

20244月以降は、裁量労働制を新しく導入したり継続したりする際に、必要な手続きが増えます。

専門業務型裁量労働制に関しては、労使協定に本人同意を得る・同意の撤回の手続きを定める必要があります。裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では2024年3月末まで)に、労働基準監督署に協定届と決議届の届出を行わなければなりません。

企画業務型裁量労働制に関しては、労使委員会の運営規程に「労使委員会に賃金・評価制度を説明する」「労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う」「労使委員会は6カ月以内ごとに1回開催する」という項目を追加する必要があります。

運営規定に必要事項を追加したうえで、決議に「本人同意を得る・同意の撤回の手続きを定める」「労使委員会に賃金・評価制度を説明する」点を追加して労働基準監督署に協定届・決議届の届出を行わなければなりません。

裁量労働制を導入している、もしくは導入を予定している事業主の方は、必要な手続きを済ませておきましょう。

2024101日以降の改正|社会保険の適用拡大

2024101日より、特定適用事業所の範囲が拡大されます。20249月までは「従業員数101人以上」の事業所が特定適用事業所ですが、202410月からは「従業員数51人以上」の事業所が特定適用事業所となります。

特定適用事業所に勤務している短時間労働者のうち、以下の条件を満たす従業員は社会保険の対象です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(基本給及び諸手当)
  • 継続して2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

 

202410月以降は、より多くの事業主が特定適用事業所に該当します。特定適用事業所に該当する場合は、条件を満たす従業員を社会保険に加入させる義務が生じます。

なお、従業員数のカウントは「フルタイムの従業員」と「週労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員」の総計です。

従業員を社会保険に加入させる際には、年金事務所にて所定の手続きを行わなければなりません。事務的な負担が発生することから、特定適用事業所に該当する事業主は、早い段階から準備を進めておくとよいでしょう。

新しく社会保険に加入することになる従業員に説明を行い、理解を得ることも欠かせません。従業員の中には「社会保険に加入したくない(配偶者の扶養から外れたくない)」と考えている方がいる可能性があるためです。

社会保険に加入することで、従業員側としては将来受給できる厚生年金の額が増え、健康保険から傷病手当金や出産手当金を受け取れるなどのメリットがあります。事業主としては「法令上のルールだから」と一言で終わらせるのではなく、社会保険に加入するメリットを含めて説明することで、従業員の理解を得やすくなるでしょう。

社会保険の適用拡大は、従業員だけでなく事業主にも大きな影響を与えます。事務的な手続きの負担増加だけでなく、社会保険料は労使折半なので事業主の経済的負担が発生するためです。

2024年10月以降は、事業主のコスト増加が発生する点は押さえておきましょう。

202412月ごろ|マイナンバーカードと健康保険証の一体化

202412月にマイナンバーカードと健康保険証が一体化され、健康保険証の廃止が行われる予定です。マイナンバーカードと健康保険証が一体化することで、マイナポータルというサイト上で特定検診や薬の情報を確認できるようになります。

転職すると健康保険証の切り替えが必要となりますが、マイナンバーカードに健康保険証としての機能を付加すれば、同じマイナンバーカードを利用し続けることが可能です。マイナンバーカードに健康保険証としての機能を持たせるためには、市区町村の窓口やマイナポータル、セブン銀行ATMで申し込みをするだけで済みます。

実際に、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関は増えています。「顔認証付きカードリーダー」が設置されている医療機関や調剤薬局では、マイナンバーカードをかざすだけで本人確認を行うことが可能です。

ほかにも、マイナポータルから年間の医療費をスムーズに確認できるため、医療費控除の確定申告を簡単に行えます。今後ますます、マイナンバーカードの利便性が高まるといえるでしょう。

なお、政府は現行の健康保険証を2024年12月2日に廃止することを予定しています。経過措置として、廃止後1年間は現行の健康保険証をそのまま使用できますが、徐々にマイナンバーカードへの移行が進んでいくと考えられます。

2024年 法改正のまとめ

2024年は、労働関係法令や社会保険関係法令でさまざまな改正が行われます。中でも、労働条件明示ルールに関する改正は事業主に大きな影響を与えると考えられます。

  • 就業場所・業務の変更の範囲
  • 有期契約労働者の更新上限に関する事項
  • 有期契約労働者の無期転換に関する事項

上記に関しては、書面での説明が求められる点は押さえておきましょう。労使間のトラブルを防ぐためにも、法改正に内容に基づいてルールを遵守することが大切です。

らに、2024年4月1日以降は建設業や自動車の運転の業務に関する時間外労働の上限規制が変わります。建設業界や物流業界、タクシー業界では、今後ますます人員の確保と業務の効率化が求められるでしょう。

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