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Q.休職期間が終了したのに従業員から復職の意思表示がない場合、就業規則を根拠として雇用契約を終了させることは可能ですか

公開日:2025/12/22  更新日:2025/12/22

休職期間満了後の雇用契約終了の考え方

休職期間が終了したにもかかわらず、従業員から復職の意思表示がない場合、就業規則に基づいて雇用契約を終了させることができるのか、という点については慎重な対応が求められます

たとえ就業規則に「傷病による休職期間が満了し、復職できない場合は雇用契約を終了する」との定めがあったとしても、休職期間の満了を理由に、当然に雇用契約が終了するとは限りません

裁判例では、このような「休職期間満了による退職」(以下「休職満了後退職」)について、形式上は退職とされていても、実質的には解雇に該当すると判断されています

そのため、休職満了後退職であっても、労働契約法第16条(解雇権濫用法理)や、労働基準法第20条(解雇予告)の規定が適用されます。
つまり、雇用契約を終了させるにあたっては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当であることが必要となります。これらの要件を欠く場合、休職満了後退職は権利の濫用として無効と判断される可能性があります。

また、休職期間が満了する前に30日以上前の予告を行うか、30日に満たない場合には、その不足日数分の解雇予告手当を支給する必要があります。

さらに、休職の原因が業務上の傷病と認められる場合には、労働基準法第19条に定める解雇制限が適用されます。この場合、休職満了後退職であっても解雇制限の対象となる点に注意が必要です。

 

裁判所が判断の際に重視する主なポイント

休職満了後退職に合理性や相当性があるかどうかについて、裁判所は主に次のような事情を踏まえて判断しています。

  1. 設定された休職期間が、傷病の回復状況に照らして適切な長さであったか
  2. 休職前の業務よりも軽い業務、労働時間の短縮、業務内容の調整、リハビリ出勤などの方法により就労が可能ではなかったか
  3. 上記の判断にあたり、主治医や産業医の意見を十分に考慮しているか
  4. 休職期間の延長やリハビリ出勤を行っても、回復の見込みがなかったといえるか
  5. 休職制度の趣旨に反し、退職させること自体を目的とした不当な意図がなかったか

 

実務上の留意点

復職が可能であるかどうかについては、原則として従業員本人が復職可能である旨を主張する必要があります。ただし、休職期間が満了した時点で復職の申出がなかったという事情だけで、直ちに休職満了後退職が有効と認められる可能性は高くありません。

実務上は、休職満了後退職を検討する場合であっても、解雇予告の規定が適用されることを前提に、休職期間が満了する30日以上前に、その旨を解雇予告を兼ねて通知し、あわせて復職の意思の有無を確認する対応が望ましいといえます。

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