退職が決まっている従業員から未使用の有給休暇を買い取って欲しいと申し出があり、どうしたら良いでしょうかと相談を受けることがありますが、原則として買い取ることはできません。
日本の労働基準法では、有給休暇は労働者の健康や休養のために与えられる休暇の権利と定められており、それを実際に休まずに金銭で解決することは法の趣旨に反するため違法とされています。そのため、会社には未使用の有給休暇を買い取りする義務はありません。
雇用者は、労働者が有給休暇を取得することが難しい場合、取得を勧奨する義務があったり、労働者と協議の上、5日以上の日数を指定して有給休暇を取得させたりすることができます。
雇用関係が続いている間に有給休暇を買い取ることはできませんが、雇用関係が終了する際に未使用の有給休暇が残っている場合は、労使間の同意のもとであれば、会社が有給休暇を買い取ることは違法ではありません。なぜなら、退職予定の労働者は業務の引継ぎ等の都合により、消化が困難なケースがあるためです。ただし、雇用主が引継ぎの為に、有給休暇を強制的に取得させないということはできません。
【例】
①退職の申出日:8月15日(出勤日はすべて有給休暇を請求)
②退職予定日:8月31日
③退職日までの出勤日数:11日
④有給休暇残日数:20日
この場合、買い取りできるのは、④20日ー③11日=9日です。
有給休暇の買取について、法律で明確に定められていないので、金額は会社ごとに異なります。主には下記3種類の方法があります。
1)通常勤務の賃金
2)直近6ヶ月の平均賃金
3)標準報酬月額
※但し、上記以外の方法を適用することは違法でなく、当該金額以下の支払でも問題ありません。
雇用者による時季指定権の行使、計画付与制度の導入、就業規則の整備など、労働者が有給休暇を取得しやすい環境づくりが重要となります。
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