監修:引地 昌(社会保険労務士)
「求人を出しても応募が集まらない。時間をかけてやっと採用したのに、数か月で辞めてしまった」——医科・歯科クリニックの院長先生から、私たちが最も多くいただくご相談のひとつです。
クリニックは、看護師・歯科衛生士・医療事務など有資格者や専門職が中心の少人数職場です。1人が抜けると現場が回らなくなり、残ったスタッフの負担が増え、それがまた次の退職を呼ぶ——この連鎖に悩む院長先生は少なくありません。
私たちは広島・呉を拠点に、医科・歯科クリニックをはじめ医療機関の労務を数多くお手伝いしてきました。その現場で見えてきたのは、離職の多くは「給料の額そのもの」よりも、“ルールの曖昧さから生まれる不公平感”が引き金になっている、ということです。そして、その不公平感を整理する土台になるのが就業規則です。
以下では、弊所の見解として、定着に効く就業規則の3つの急所をお伝えします。
急所①:シフトと時間外のルールが曖昧
少人数のクリニックでは、急な欠勤や患者数の増減でシフトが動きがちです。ここで「誰がいつ残るのか」「時間外はどう扱うのか」が院長先生の裁量任せになっていると、“いつも同じ人にしわ寄せがいく”という不公平感が積み上がります。
就業規則で、始業・終業・休憩、時間外労働の考え方、振替の取り扱いを整理しておくと、スタッフは「ルールに沿って公平に決まっている」と受け止めやすくなります。残業代の計算根拠を明確にしておくことは、後々のトラブルを避けるうえでも大切です。
急所②:評価と手当の“根拠”が伝わっていない
「頑張っている人にはきちんと報いたい」——多くの院長先生がそう考えています。ところが、その気持ちが手当や評価の“根拠”として言語化されていないと、スタッフには伝わりません。「なぜあの人に役職手当が付くのか」が分からないと、努力が報われていないと感じてしまいます。
就業規則・賃金規程のなかで、基本給と各手当の位置づけ、評価の考え方を整理しておくと、「この医院は頑張りを見てくれる」という納得感が生まれます。これは、採用時の説明のしやすさにもつながります。
急所③:休み・産休育休・急な欠勤のルール
クリニックは女性スタッフが多い職場です。妊娠・出産・育児や家庭の事情と両立できるかどうかは、定着に直結します。産前産後・育児休業や短時間勤務、有給休暇(年5日の取得を含む)、急な欠勤時の連絡ルールが整っていると、スタッフは「長く働ける職場だ」と感じられます。
近年は、育児・介護休業法をはじめ関連する法改正が続いています。古いひな型のままの規程では、現在の制度に追いついていないことも少なくありません。この機会に、現状を一度点検されることをおすすめします。
「ダメ出し」ではなく「土台を整える」
就業規則は、スタッフを縛るための書類ではありません。院長先生とスタッフの双方が「同じルールで公平に働ける」ための土台です。この土台が整うと、日々の小さな不満が減り、結果として定着につながっていきます。
私たちは税理士業界で20年、経営と数字の現場を見てきた立場から、労務を「コスト」ではなく「医院を守り、育てる打ち手」としてご提案しています。医療現場の事情を踏まえたうえで、御社の実態に合わせて整えるお手伝いをします。
まずは、現状を知るところから(無料)
「うちの就業規則、いまの法律や現場に合っているだろうか?」——そう思われたら、まずは無料の診断で現状を整理しませんか。就業規則 無料診断(医科・歯科クリニックの院長先生向け・約2分でお申し込み)。お預かりした規程を社会保険労務士が拝見し、通常3〜5営業日で診断レポートをメールでお返しします。診断は無料で、レポートをご覧いただくだけでも大丈夫です。しつこい営業はいたしません。
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監修:引地 昌(社会保険労務士)
引地社会保険労務士事務所 代表。税理士業界で20年の実務を経て開業し、医科・歯科クリニックをはじめ医療機関の労務を数多く支援。労務を「コスト」ではなく「経営の打ち手」として提案しています。

